ブルベア型投資信託
投資対象として、株式でなく債券でもなく、投資信託協会の区分でも特殊型に分類されるファンドに「ブルベア型」というものがあります。これは、ブル型とベア型という2つの種類のファンドを合わせて呼んだものです。
ブル型
運用の目標とする株価指標などの何倍かの動きをするファンドです。例えば「日経平均ブル2倍」といえば、日経平均株価の値動きの2倍動きます。つまり、日経平均が3%値上がりすれば、このファンドは2倍の6%値上がりするということです。逆に、日経平均が3%値下がりすれば、ファンドは6%値下がりすることになります。
ベア型
こちらは、指標の逆の動きをするファンドです。「日経平均ベア2倍」ならば、日経平均株価が3%値上がりすればファンドの基準価額は6%値下がりします。逆に日経平均株価が3%値下がりすればファンドは6%値上がりすることになります。
したがって、今後、株価が上がると考える場合はブル型を、下がると考える場合はベア型を買い、実際にその見込み通りになれば大きな収益を得ることができます。
因みに、ブルは英語でBull(雄牛)、ベアはBear(熊)で、ブルは強気筋(上がると思う人)、ベアは弱気筋(下がると思う人)を指します。一説によると、雄牛は下から上へ向かって突き上げ、熊は上から下へ叩きつけるように攻撃することからそのように言われるようになったそうです。
ブルベア型投資信託の対象となる指標は、日経平均株価のほかにも日本の債券価格やドル円レート、米国や欧州の株式、債券など色々なものがあり、また、ブル型で2倍~5倍、ベア型で1倍~5倍と倍率も様々なものが設定されています。
どうやって運用しているのか
ブルベア型のファンドは一般に先物取引を使って運用されます。例えば、「日経平均ブル2倍」ファンドの資産が30億円あったとしたら、まず、その30億円分の短期債券(リスクがほとんどない投資対象)を買います。同時に、30億円の資産の2倍分に相当する日経平均先物を買います。これで、そのファンドは日経平均株価の動きの2倍の動きをするようになります。
説明書などでは、「投資対象が債券」と出てくるので違和感を覚えると思いますが、先物はわずかな証拠金だけで取引できるため、便宜的にファンド元本のほとんどの部分をリスクの小さい短期債券を保有しているのです。先物価格が下がれば、この短期債券を売却して損失分を清算しますので、元本が債券に投資されているからといって安全なものではなく、むしろリスク(値動き)が非常に高いものですので注意してください。
ブルベア型ファンドの特殊な注意点
ブルベア型は、指標の何倍もの値動きをするリスクの高いファンドですので、購入する際には無理のない金額で行うのが鉄則です。
また、2倍・3倍などの指標への連動性は、あくまでも前日に比べての目標である点に注意してください。このことは、日経平均が一旦下がって元の値段に戻っても、ファンドの基準価額は元の値段には戻らない可能性があることを意味します。
下の例を見てください。日々の値動きでみると、どの日を見てもファンドの値上がり・値下がり率はぴったり日経平均の2倍で、ファンドの目標通りになっています。しかし、5日間で見ると、5日目の日経平均が1日目の15,000円に戻ったとしても、ファンドの基準価額は1日目の10,000円には戻っていません。
日付 |
日経平均 |
前日比 |
騰落率 |
ファンド基準価額 |
前日比 |
騰落率 |
1日 |
15,000円 |
|
|
10,000円 |
|
|
2日 |
15,500円 |
+500円 |
+3.3% |
10,660円 |
+660円 |
+6.6% |
3日 |
15,000円 |
-500円 |
-3.2% |
9,978円 |
-682円 |
-6.4% |
4日 |
14,500円 |
-500円 |
-3.3% |
9,319円 |
-659円 |
-6.6% |
5日 |
15,000円 |
+500円 |
+3.4% |
9,953円 |
+634円 |
+6.8% |

このようなこともありますので、一般の投資信託では長期投資が推奨されますが、ブルベア型はあまり長期投資をせず、マメに投資対象の指標や基準価額を確認して、利益確定・損失限定の売却をするようにした方がよいと思われます。