投資信託の投資対象は、国内や海外の株式、債券などが普通ですが、「ファンド」を投資対象とする投資信託があります。ファンドがファンドを買う二重の構造です。これは、運用を効率化するための仕組みで、例えば、ブラジルの株式に投資するファンドを作ろうとする時に、ブラジル株を直接買わずに、ブラジル株に投資しているファンドを買うことで、同じ効果を得ようとするものです。通常、新しくファンドを建てるには、新たにポートフォリオを構築し、株式市場で売買を行います。そのため、シニアのファンドマネージャーやアシスタント、トレーダー、ポートフォリオを管理する人が必要で、手間もかかります。そこで、同じコンセプトのファンドをまるごと買ってしまえば、ファンドの個性は出ないものの、かなり効率化されます。
このような二重構造を採るファンドの形式には、「ファミリーファンド」と「ファンド・オブ・ファンズ」があります。
「ファミリーファンド」は、マザーファンドとベビーファンドが同じ運用会社、同じ信託銀行のファンドである必要があります。そこで、他の運用会社のファンドや外国籍のファンドを組み入れたい場合に採る形式がファンド・オブ・ファンズです。
これは、外国籍の投資信託で、パフォーマンスが良かったりコンセプトがユニークなファンドなどを日本の投資家に提供したい場合などに使われます。また、日本国内からでは調査や投資をしにくい投資対象の場合も、現地にそのコンセプトに合うファンドがあればそれを組入れて、日本の投資家のために組成することもできて便利です。
なお、ファンド・オブ・ファンズは、投資信託協会の規定によって、原則として2本以上のファンドを組入れなければならないことになっています。だから、Fund of Funds、2つ目のファンドは複数形の「ズ」
になっているわけですね。例えば、「アメリカ株式に投資するXファンド」に70%、「日本株式に投資するYファンド」30%などと分散して投資することを前提にしています。ただ、実際には、主たる目的とするXファンドを90%組入れ、残りの部分はほとんどリスクを採らない日本の短期債ファンドを組入れている場合も少なくありません。
ファンド・オブ・ファンズの注意点
ファンド・オブ・ファンズは、概ね、コストが高くなります。ファミリーファンドでは、投資される側のファンド(親ファンド)にコストがかかりませんが、ファンド・オブ・ファンズでは投資先ファンドのコストもかかってきます。ファミリーファンドは親ファンド・子ファンドが同じ機関で運営されているのに対して、ファンド・オブ・ファンズはまったく別の運用会社のファンドへの投資となりますので、これは当然のことです。
ファンド・オブ・ファンズの投資信託説明書(目論見書)には、投資先ファンドのコストを記載することが義務付けられていますので、投資する際には、是非確認してください。二階建てのコストが高かったとしても、それを払ってあまりある運用成果を残せる魅力のあるファンドであれば購入しましょう。
