選ぶときの注意点
投資信託を選ぶ順序 まずは投資対象資産を決めましょう
投資信託は、あくまでも投資をするための便利ツール(手段)です。株式に投資する時に、手持ち資金が少ししかないけれども分散投資をしたい、企業業績を調査・分析する時間や技術がないなど直接投資するのは難しい場合に、投資信託という仕組みを利用して希望する資産に投資をしようということです。このことから、まず考えるべきことは、「投資信託を通じて何に投資しようか?」ということです。国内の株式なのか、海外の株式なのか、または国内外の債券なのかREIT(不動産関連証券)なのかを最初に決めます。
儲かりそうな資産を探すためには、専門家のコラムやニュースなど、広く情報収集に努めるとよいでしょう。例えば、アセアン諸国の成長性の記事を目にしたらアセアン諸国の株式を検討してみるとか、今後円安になりそうであれば海外債券に注目してみるなどです。なお、長期的な資産形成を計画する場合には、投資に充てる予定の財産でどの資産を何割保有するか投資対象資産の振分けを行います(ポートフォリオの構築といいます)。一般に、国内外の株式・債券、海外の株式・債券などをバランスよく配分する方法が推奨されています。
投資信託の選び方
投資対象資産を決めたら、それらを投資対象とする投資信託のなかから買うべきファンドを選んでいきます。投資信託は、投資家に利便性を提供するために様々な形のものが提供されています。例えば、次のような項目があります。
分配の回数(決算の回数)
分配金を受取る回数が、年に1回、2回、4回、6回、12回と5つのパターンがあります。分配金の回数が多いからといって儲かるファンドではありません。自分のライフスタイルから考えて、分配金を受取ることが必要なのか、必要な場合の頻度などよく考えて選びましょう。
インデックスファンドかアクティブファンドか
インデックスファンドは、日経平均株価やニューヨークダウなど決められた株価指数と同じ動きをするように運用される投資信託です。一方、アクティブファンドは、ファンドマネージャーが銘柄を選んで株価指数を超える成果を出すことを目的に運用されます。前者は値動きが分かりやすいという特徴があり、後者は運用の巧拙によりインデックスより成果が良いことも悪いこともあるものです。その他、成長株に投資する、割安株に投資する…など、同じ投資対象市場に投資するにしても、投資のスタイルが様々にあります。
自分に合うスタイルの投資信託を抽出したら、最後に、次のような観点から絞込んでいきます。これは、購入する候補がある場合にも、確認した方がよい項目です。
リターン
運用の巧拙を確認します。同じ投資対象、同じ相場のなかで良好な成果を上げてきたかどうか、過去の実績を比べてみます。
手数料負担
同じようなファンドであれば、コストが低い方が運用成果向上には有利です。申込み手数料と信託報酬は確認しておきましょう。
純資産総額の大きさ
ファンドの規模が極端に小さいと繰上償還の可能性が高まります。できれば純資産総額30億円以上のものを選ぶようにしましょう。
自分に合うスタイルの投資信託を抽出したら、最後に、次のような観点から絞込んでいきます。これは、購入する候補がある場合にも、確認した方がよい項目です。
■モーニングスター http://www.morningstar.co.jp/FundData/DetailSearch.do
■投資信託協会 http://tskl.toushin.or.jp/FdsWeb/view/FDST000000.seam
投資信託を選ぶときの注意点
投資信託を選ぶときに一番良くないことは「売れ筋ありき」で買うことです。証券会社や銀行など販売会社の店頭に出向いて「どの投資信託がおすすめですか」と訊くと、大概が今一番売れているファンドや新規募集中のファンドを案内されます。しかし、投資信託に限らず投資物件は、往々にして値段が上がるほど注目度が高まり、買う人が増える(販売会社から見れば販売しやすい)ようになります。これは、つまり、売れているファンドを買うほど高値で買う確率が高まり、人気が過熱するほどに調整(値下がり)リスクが高まるものです。過去のITバブル、新興国バブルなどの投資信託の売行きを十分参考にすべきことです。
ただ、売れ筋イコール危険ということではありません。前述した通り、投資信託の先にある投資対象が儲かりそうか(成長性があるか、過熱感はないか等)を先に検討し、自分の資産運用ニーズも考え、もっとも合うものを選べばよく、その順序で抽出したものがたまたま売れ筋ファンドであったならば問題ありません。