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元本確保型

「元本確保」と「元本保証」違い

元本保証は、元本を返還すべき人が返還できない場合に、国や地方自治体など然るべき信用の高い機関が代わって返還する義務を負うことです。投資信託における元本確保とは、元本を下回らない仕組みの運用をすることです。投資信託には元本保証はありませんので、パンフレットや投資信託説明書(目論見書)には、必ず「元本確保を目指す」という表現になっています。

投資信託における元本確保の意味

運用方法の工夫で元本を確保する投資信託は、「単位型」となります。単位型とは、設立される時にのみ購入できるファンドであり、追加型のように運用中の変動する時価で買うことができないので、投資家全員の投資元本が同じ値段(10,000円)となります。そして、ファンドの償還(満期)まで持った場合に元本が確保されるという条件が付きます。

なお、投資元本の全額(基準価額10,000円)を確保する場合もありますが、元本の一部を確保するファンドもあります。例えば、「当ファンドは日経平均株価に連動する動きを目指しますが、株価が値下がりしても元本の80%を確保します」という場合は、償還時の基準価額が8,000円を下回らないように運用するといった意味です。

それでは、元本を確保するための運用方法を紹介します。

債券の利子収入を使う運用方法

ファンドで保有する債券からの利子収入を使って元本を確保しながら、ハイリターン運用を狙う方法があります。かなり簡略化した形で説明します。例えば、運用期間3年、100万円の投資元本があったとします。100万円のうちの87万円分で年利5%の債券を購入します。すると、1年あたり43,500円(87万円×5%)、3年分で130,500円の利子収入があります。債券を買った金額と合計すると100万500円になります。そして、債券を買わなかった残りの金額13万円(100万円-87万円)で、株式や先物・オプションなどで大きくリスクをとった運用をします。そこで大きな利益を上げられればプラスの収益となり、もし万一失敗して株式や先物・オプション部分の価値が0円になってしまったとしても、債券保有部分と利息収入で100万500円ありますので、投資元本は確保されることになります。

この方法は、債券の利回りが高くないとリスクを取る部分が小さくなり、魅力的な収益が期待しにくいため、超低金利時代に入った日本国内ではあまり見られなくなりました。高金利の外国債券を使えば十分魅力的な方法ですが、その場合、外国為替レートの変動を受けてしまうので、日本円ベースで元本確保はできません。そこで、「外貨ベースでの元本確保」を目指す外国投信(外国籍のファンド)が見られます。

投資対象を民間会社が保証する方法

ファンドの運用方針として「日経平均株価連動債券を主要投資対象として、日経平均の上昇メリットを享受することを目指します。また、満期償還時に元本を100%確保することを目指します。」といったスタイルのファンドがあります。このファンドの仕組みは、まず、「日経平均株価と同じ値動きをする債券」を購入します。日経平均株価が上がればこの債券の価値も上がるので、ファンドの基準価額が上昇します。もし、ファンドの満期償還時に日経平均株価が値下がりしてしまった場合でも、この債券を発行している会社が債券を元本で償還します。そのため、ファンドにも元本が戻り、基準価額がスタート時の10,000円を割ることなく満期償還を迎えることができるのです。このタイプのファンドでも、保証されるのは投資対象の債券であって、ファンドそのものではありませんので、あくまでも「元本確保を目指す」との記載となります。

こういったファンドの注意点は、この債券を発行する会社の信用リスクです。発行会社は世界的な規模の金融機関であることが多いのですが、民間企業ではありますので、通常は国や政府機関などよりも信用度が劣ります。万一、その金融機関が破綻すると、元本の保証がなくなるばかりか債券価値が大きく値下がりすることもあります。また、日経平均株価などに連動するといっても100%連動ではないこともありますので、商品性をよく把握して購入しましょう。

複雑な条件のファンドに注意

債券を購入するタイプのファンドで、複雑な条件のものがあります。「ノックイン型」といわれるファンドで、例えば「日経平均株価が20%以上下がらなければ元本確保」といったものです。これの問題点は、ある決められた時点で日経平均株価が20%以上下がっていると(ノックイン)、いきなりファンドが日経平均株価の下落と同じだけの値下がりを被ってしまうことです。株価などが決められた範囲内の値下がりまでならば元本が確保されますが、それを超えて値下がり、一旦ノックインすれば株価指数などと同じリスクを負います。多少の分配金が出ることもあるようですが、それでも、あまりリスク・リターンのバランスがよい商品とは考えられません。

「元本確保」を掲げた投資信託を購入する場合は、最終的な収益の源泉となる指数、その指数の成長性、指数の動きとファンドの収益の関係性、債券を発行する金融機関の信用度などをしっかり確認しましょう。