税金について
まず、「株式投資信託」と「公社債投資信託」では課税方法が異なります。公社債投資信託とは、債券に100%投資することが約款で決められている投資信託で、主に、MMFやMRFなど投資信託のなかでも貯蓄性の強い商品です。それ以外のほとんどのファンドが株式投資信託で、近年、人気のある外国債券ファンド、毎月分配型のファンドなども、約款上は株式にも投資することができる「株式投資信託」に分類されます。
また、投資に関する利益は、税制上2種類に分類されています。投資信託を購入して売却して得た利益(譲渡益、キャピタルゲイン)と分配金(インカムゲイン)です。
公社債投資信託について
公社債投資信託では譲渡益も分配金も扱いは同じで、税率20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、地方税5%)が源泉徴収されて課税関係は終了します。つまり、他の公社債投資信託や株式投資信託、株式などとの損益の通算ができないということです。ただし、2016年1月1日からは、公社債投資信託の譲渡損益や分配金も、株式投資信託や株式の損益と通算できるようになる予定です。
株式投資信託について
株式投資信託では、譲渡益と分配金の課税方法が異なります。
譲渡益にかかる税金
給与などの他の所得とは別に損益を計算して確定申告する「申告分離課税」が原則となっています。課税方法としては、まず、1年間(1月1日から12月31日まで)のすべての取引の利益と損失を合算(損益通算)します。その結果がプラス(利益)となった場合、その利益の金額に税率20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)を乗じた金額が税金額です。
しかし、この損益通算の計算をするのは大変な作業です。そこで、証券会社や銀行など投資信託の販売会社では、確定申告を簡単にできるように特定口座のサービスを提供しています。特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類の口座があり、「源泉徴収あり」では税金の源泉徴収まで自動的に行われますので、投資家は確定申告する必要がありません。「源泉徴収なし」では投資家が自分で確定申告をしなければなりませんが、販売会社が損益通算などを計算した「年間取引報告書」を出してくれますので、自分で計算せずに確定申告ができます。
分配金にかかる税金
投資信託の分配金には、「普通分配金」「元本払戻金(特別分配金)」があります。普通分配金は、その投資家にとって利益となっている分配金であり、元本払戻金(特別分配金)は実質的には投資家の利益にはなっていない、文字通り元本が払い戻されたのと同じ性質を持つ分配金です。税金がかかるのは利益である普通分配金に対してだけであり、税率20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、地方税5%)を乗じた金額が源泉徴収されて課税関係が終了するのが原則です。
ただし、特定口座の「源泉徴収あり」で取引をした分については、譲渡損益と損益が通算されます。つまり、譲渡損があれば、分配金で源泉徴収された税金は返還されます。「源泉徴収なし」口座では、確定申告で分配金も損益通算することができます。