ポートフォリオとは
ポートフォリオ(Portfolio)とは、もともとは画家が作品を持ち歩くための紙ばさみを表す英語ですが、現在では「様々な種類のものを一つにまとめて一覧できるようにしたもの」といった意味で使われます。
投資の世界でいうポートフォリオは、様々な種類の資産に分散投資しているその中身(資産の種類や比率)のことをいいます。
投資は、究極のところ、安く買って高く売れば収益となりますが、投資対象には相場があり、将来の予測は極めて難しいものです。一つの資産に投資をする場合、もちろん成長性を見込んで投資をするのですが、見込みが外れたり予想外の環境変化などによってその資産価値が大幅に下落すると、財産の多くを失ってしまうことになります。そのようなリスク(価格の変動性)の影響を緩和して、安定的な資産運用をするためには、複数の資産に分散することが推奨されています。つまり、一つの資産が何らかの事情で大きく下がっても、他の資産価値は無事であるか、または他の資産の値上がりでカバーできることもあります。よく「卵は一つのカゴに盛るな」といわれるのは、カゴを落として全部の卵が割れてしまうことを防ぐために、複数のカゴに盛りましょう…ということです。
ポートフォリオの組み方
リスクを低くする(価値の変動を抑える)という目的からは、価格変動の理由が異なる資産を組み合わせて買ったほうが良いことになります。例えば、日本株式と海外債券などです。日本の景気が悪くなると日本株式は弱くなりますが、海外債券にはあまり関係がないということです。
資産クラスには、概ね、日本株式、日本債券、海外株式(先進国・新興国)、海外債券(先進国・新興国)、不動産関連投資(REIT)があり、それぞれに変動する要因が異なります。また、これらの資産は価格変動の大きさ(リスク度合い)が異なるため、組み合わせ方によって、リスクの度合いを調整することができます。例えば、債券は株式よりもリスクが低いですし、株式の中でも先進国の方が新興国よりも安定していてリスクが低いものです。リスクが低いということは、同時に期待できる収益も低いということを踏まえつつ、自分の目指す収益率やリスク度合いに合わせて比率を決めていくことでポートフォリオを組んでいきます。
一般に、若い人は財産を大きく成長させる必要があり、また大きなリスクが取れる時間的な余裕があるため、「株式」の比率を多めにするとよく、高齢になるほど「債券」の比率を多めにした方がよいなどと言われます。また、先進国である日本の株式は成長力が比較的低いため、海外の資産を多めに入れるといった調整もなされます。ただし、適合するリスク度合いは年齢だけでなく、保有する財産、給与水準、ライフスタイルそして投資家各人の性格によっても異なりますので、一概には言えません。各自が、自分の状況を分析して、最適な組み合せをポートフォリオとして作っていくのです。
ポートフォリオ構築に投資信託の活用
ポートフォリオ(投資する資産の種類と比率)を決めたとして、それに合った個別の銘柄を選ぶことは大変なことです。また、特に外国株式や債券などは、注文手続きや資産管理も煩雑になります。そこで、投資信託が絶好のツールとなります。投資信託なら、資産クラスごとにいくつもファンドが出ています。資産クラスごとにどのような商品があるかを調べるには、インターネットで提供されているファンド検索ツールを利用しましょう。
例えば、モーニングスター社の検索サイト(http://www.morningstar.co.jp/FundData/DetailSearch.do)でも、投資対象資産のカテゴリーで検索することができます。
資産クラスごとに比率を決めたら、それに合ったファンドを抽出して、比率に合った金額を購入しましょう。ポートフォリオ運用では、3ヵ月~6ヵ月に1回程度のリバランスをします。それは、購入した当時に比べて値上がりした資産は比率が大きく、値下がりした資産は比率が減っているので、それを最初に決めた比率に戻す作業です。これにより、値上がりした資産を売却(利益確定)し、値下がりした資産を買い増すことになり、より一層安定した資産運用となります。
オールインワンの投資信託も
ファンドの中身自体が資産クラスのポートフォリオになっているものもあります。バランスファンドといって、株式(国内・海外)・債券(国内・海外)・REITなどに分散投資するファンドです。「安定型」「安定成長型」「成長型」などと銘打って、安定型には債券を多く、成長型には株式を多く配分しています。配分比率は投資信託説明書(目論見書)などに記載されています。バランスファンドは、自分の希望する資産配分にマッチしたファンドを1本買っておけば、それだけでポートフォリオの構築になり、また、リバランスもファンドの中で自動的に行われます。