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分配金の約定日

投資信託の収益分配は、決算の機会に行われます。そこで、いつ買ったら収益分配金(分配金)を受取る権利があるのか、いつ売ったら分配金を受取ってからの売却になるのか気になる投資家は多いようです。それを理解するためには、投資信託の注文日と約定日の関係を知ることが前提となります。約定日とは注文が成立する日のことですが、投資信託では2つのパターンがあるので見ていきましょう。

国内の資産に投資するファンド: 申込み日の当日が約定日

国内の株式等に投資するファンドは、本日(締切り時刻は14時~15時が多い)買付注文を申込んだ分(厳密には、申込んで販売会社が受付けた分)については、本日の市場の終値で計算された基準価額で購入することになります。これは解約注文(換金注文)の場合も同じです。この場合、本日注文して、本日の価額を適用して約定しますから、注文日の当日が約定日となります。

海外の資産に投資するファンド: 申込み日の翌営業日が約定日

海外の資産に投資するファンドは、本日(締切り時刻は15時が多い)買付注文を入れた分については、翌営業日に計算される基準価額での購入となります。これは日本と投資対象となる海外で時差があることと、為替の換算があるためで、注文日と同日の市場終値と翌営業日の為替レートを使って基準価額が計算されます。例えば、米国株に投資するファンドを8月4日15時までに注文をすると、翌日8月5日の日本時間の明け方に終了する株式市場(米国の日付では8月4日)の終値と8月5日の午前10時ごろの為替レートを掛け合わせて計算された基準価額をもって、購入や解約をすることになります。したがって、海外の資産に投資するファンドの約定日は、注文日の翌営業日です。

ほとんどのファンドが上記のパターンを採用していますが、稀に異なる場合がありますので、念のため、投資信託説明書(目論見書)等で確認するか、販売会社に問い合わせておくとよいでしょう。

分配金を受取る権利と注文日の関係

上記の注文日と約定日の関係を踏まえると、日本の資産に投資するファンドに対して、決算日に注文を入れると決算日が約定日になります。決算日の基準価額は、既に分配金が払出された後のものとなります。そこで、決算日の1日前の営業日に購入を申込めば、翌日の決算日に出る分配金を受取ることができ、解約の注文を入れれば分配金が落ちる前の解約となります。

海外の資産に投資するファンドの場合は、決算日の前営業日に注文を入れると、翌日決算日の分配金落ち後の基準価額での約定となります。したがって、分配金を受取る権利を得ようと思えば、購入の注文は決算日の2営業日前に注文を入れ、解約の場合は1営業日前に注文することになります。

購入・解約のタイミングと分配金の意味

投資信託は、分配金が払出されるとその分、基準価額が下がります。例えば、基準価額12,000円の日本株ファンドについて、分配金を受取る権利がある決算日の前営業日に買ったとしましょう。翌日の決算日に分配金が2,000円出た場合、組入れている株価の変動がなかったと仮定すれば、分配落ち後の基準価額は分配金2,000円分を引いた10,000円となります。この場合、ファンドを12,000円で買い、2,000円の分配金を受取りますが、その2,000円は単に元本が払戻されただけということになります。元本払戻金(特別分配金)になりますので非課税ではありますが、個別元本(税制上の買付コスト)も同時に下がります。

これが、投資信託ではなく上場株式であれば、配当落ちを好感して株が買われる(株価が上がる)ことや、配当を埋める(配当が落ちる前の株価まで値上がりする)などの傾向から、配当落ちを意識する意味は大きいのですが、それは株価が需給関係(投資家の思惑)で決まっているから起きることです。投資信託は、あくまでも組入れている株価などの評価で基準価額が動き、分配金を出した分はそのまま基準価額が下がるので、決算前後の分配金権利を考えた購入・解約に経済合理的な意味はあまりないものと考えられます。

むしろ、購入してすぐにお金が払戻される不便を考えると、決算日以降を約定日として(分配金が落ちた後のタイミングで)購入する方がよいと思われます。解約も、わざわざ分配金を受取って即時に落ちた後の値段で元本を解約することになるので、決算日以前に分配金が乗った状態の基準価額で売った方がよいのではないでしょうか。ただし、法人投資家などで、今期の収益で配当や利子収入を計上したい…など、税務上の事情がある場合は別段です。